私の今一番力を入れている仕事は、日本のブランドをヨーロッパに広げていくこと。
元々レディースの仕事を専門にしていたので、レディースブランドの販売をしようと思っていたのだが、残念ながら日本のレディースでヨーロッパで売れそうなコレクションがあまり見当たらなかったので、メンズの商品の販売をすることにした。
これまでヨーロッパで多くの日本ブランドの販売をしたり、大きな展示会の中にあるジャパンブースの運営のお手伝いもかなりやってきた。日本製に対するヨーロッパのバイヤーの評価は高いが、いざ販売をするとなると、どうしても「価格が高い」と言われてしまい、なかなか販売に結びつかない。メーカーにお願いして値段を下げてもらったとしても、それほど価格が落とせるわけでもなく、それをもっと安くするには商品の質が下がってしまい、せっかくの日本ブランドの良さがなくなってしまう。
その値段がネックとなり販売に繋がらないのは癪に障るので、逆に価格が高くても高品質で唯一無二の商品を販売するようにしている。その判断は今でも正しいと思っている。どうせなら日本のものづくりを誇れる素晴らしい商品をヨーロッパに広げていきたい。
これまでも何度か話してきたが、私は展示会に出展することと、直接お店に営業に行くことがとても重要だと思っている。展示会には多くのバイヤーが来場するので、それらのバイヤーに商品を見せることができる。ただ、以前は展示会でオーダーがたくさん取れた時もあったが、最近は展示会でオーダーを取ることはなかなか難しい、バイヤーは新しい商品を以前ほど探していないように思う。また、バイヤーが展示会に来ても一つ一つのコレクションをしっかり見ているわけでもないので、特に大きな展示会になると、多くのコレクションの中から自分のブランドを見つけてもらうのも簡単なことではない。ということで、展示会の前に直接お店に営業に行き、商品を見せ気に入ってもらってから展示会に誘うようにしている。そうするとかなりの割合で展示会のブースに見に来てくれる。
今週の火曜日と水曜日にオーストリアの首都ウィーンに日本のカシミアの最高品質のニットブランドUTOの営業に行ってきた。このブランドはベーシックでシンプルなデザインだが、かなり質の高いものづくりをしている。またニット製品でありながら、サイズに合わせて1枚ずつ作っている。
こういった商品をセレクトショップに販売するのはとても難しい。セレクトショップでは、ある程度個性的なコレクションだったり、ネームバリューがないとお店が購入してくれたとしても長続きしない。特にかなり高価な商品になると、いくら品質が高くてもネームバリューがないと難しい。それはある程度事前に予想できたが、それでもどんな反応があるのか、初めのうちはあえてセレクトショップも回ってみたが、はやりセレクトショップでの販売はそれほど簡単ではなさそうだ。
UTOはサイズに合わせて1枚ずつ商品を作り、3週間でデリバリーできるので、現在はビスポークのお店を中心に回っている。ビスポークのお店は店に顧客がついているからだ。またビスポークのお店に買いに来る客はもともとその場にある商品を買いに来るわけではないので、オーダーをとってから生産をするUTOのニットとも同調性もある。
なるべく事前にメールでブランド説明をし、アポを取ってから行くようにしているが、世の中はものが溢れているので、いくら上手く説明をしたとしてもメールの返事をしてくれるところはないし、メールをどれくらいのお店が読んでくれているのかわからない。それで電話をかけていくが、新しいブランドの販売に興味を持つお店はほぼないので、アポが1件でも取れたら、直接その街に行き、アポが入っていないお店にも飛び込みで行くようにしている。
電話でのアポの事前コンタクトは、電話をして断られてしまうと、まだ商品を見せていないのに、逆に会えなくなってしまうので、私としてはアポがなくても直接お店に行ってしまいたい。まあ、断られても「来てしまいました」と断られたお店にも行くのだが…
続く…
Ciao !