Ciao! takaoです。
下の写真のこの2つのビルはボスコ・ヴェルティカーレ(BOSCO VERTICALE)と言うミラノの代表的な近代の建物で、直訳すると「垂直の森」という意味になります。27階建てで高さ111m、19階建てで高さ76mの2つのビルからなっています。今ではミラノの観光地の一つにもなっているので、ミラノに来たことがなくても、写真などで見られた方も多いと思います。
ビルの建つエリアはイーゾラ地区と言って、以前は庶民的なエリアでしたが、5、6年前までかなり広い区画が整理され、このビルが立ったことで、高級なエリアと変貌しました。初めは「Città della moda」(ファッションの街)という名前がついていて、ファッション産業に関係する建物などが集まる様なことを聞いていましたが、区画整理されたものの、もそんな感じにはなっていない様に思います…工事は2009年に始まり、6000人の労働者が雇用されたそうです。2015年に行われたミラノ•エクスポが始まる1年前の2014年に完成しました。それまではミラノには高層ビルはかなり少なく、近代的なビルは少なかったのですが、ここ最近は新しくいくつかの高層ビルが立ち始めてきました。

この2つのビルには6m以下の樹木が約700本、低い木が5.000本、花が10.000本以上植えられています。それは全部で94 種の植物からなり、そのうち59種類は鳥類にとっても有用な植物です。南側にカラフルで目立つ常緑樹を配置し、 北側と西側には紅葉を楽し無ことができる植物があり、 東側には新鮮で柔らかい色合いの植物が植えられていて、四季を通して様々な色の変化を楽しむことができます。
この設計に当たった建築家ステファノ・ボエーリ氏は、以前ドバイで仕事をしていた時に、いつもガラス張りの建物ばかりを建築していて、それらは太陽光を反射するために熱を起こすことにもなり、もっとエネルギーを消費しないエコな建物を作れないのだろうか,と思っていた時期があるそうです。そこで木で覆われた生きた超高層ビルを建設することを考えたのだそうです。ボスコ・ヴェルティカーレは、実際街中では難しい緑をふんだんに使うことによって二酸化炭素の軽減はかることができ、木によって温度を下げることも可能になったそうです。ボスコ・ヴェルティカーレは、「木のために作った高層ビルに人を住まわす」という、一般的な考えからは逆のアイディアからできています。

植物への水やりには、汚れの軽い排水をろ過して再利用するシステムを取り入れています。この革新的な建物は、2014年に建築デザインの国際アワードであるインターナショナル・ハイライズ・アワードを受賞するなど、多くの国際的な賞を受賞しています。
これらの植物は、都市環境と気温両方の観点から多くの有益な効果をもたらします。植えられた樹木は湿度を上げ乾燥から守り、、細かいほこりをフィルタリングし、騒音公害を大幅に減衰させ、大気からCO2を排除し、O2を放出して空気を浄化します。また葉の風除けにもなり、日射も遮ります。また、鳥や昆虫などを引き付け自然の生態系を守ることにも貢献しています。

このボスコ・ヴェルティカーレはただ単に街を新しくするだけでなく、自然に配慮し、人も住みやすい理想的な居住地です。近くにある公園にはたくさんの緑があり、運動するスペースもあって、市民の憩いの場所となっています。大体新しく街ができると自然を壊したりしがちですが、この界隈は以前よりもかなり緑が増えました。こんな感じになるのであれば新しくなってもいいですね。
Ciao!